アラウンド・チャイナ

ガイドブックにはあまり載らないニッチな中国旅行指南

日本のチャーハンの源泉は揚州にあり!本格揚州炒飯を作ろう!

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揚州炒飯

 さて、これまで当ブログでは四川料理に山東料理、安徽料理、福建料理と様々な地方の中華料理を紹介してきた。

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 中華と一口に言っても、実に様々なことがわかるが、しかしながら日本人にとって中華といえば、やっぱりラーメンギョウザチャーハンが御三家だろう。

 まずラーメンだが、もはや完全に日本料理にジャンル分けされる存在に。なんせ本場・中国でも日本のラーメンは日式拉面(rì shì lā miàn:リーシーラーミェン)と呼ぶほどなのだ。そもそも中国に麺(中国語では面と書く)と呼ばれるものは数あれど、拉麺と呼ばれるものは、あまりない。そもそも「拉」は引っ張るという意味だが、引っ張って麺を作ること自体がレアなのだ(大体、こねて切るだけ)。もっとも拉麺がない訳ではなく、引っ張る麺といえば、最近日本でも人気の蘭州拉麺がある(蘭州拉麺は麺の太さを選べるのが特徴だが、それは引っ張る加減により調整する)。

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蘭州拉麺

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 どうやら日本のラーメンのルーツは、シルクロードの地方都市にありそうだ(とはいえ、これには様々な説があり、一概に言えない)。

 続いてギョウザ。中国でも餃子(jiǎo zi:ジャオズ)はポピュラーな料理だが、中国人にとっての餃子は水餃子のこと。中国の餃子は具が豊富で、お酢につけて食べるのが一般的。では日本のような焼き餃子はというと、洛陽発祥の料理に鍋貼(guō tiē:グォティエ)というのがある。とはいえ、日本の焼き餃子とは随分見た目が異なる。

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台湾のチェーン店である四海遊龍の鍋貼。棒状の形をしている。

 日本のギョウザに比較的近いのは、煎餃(jiān jiǎo:ジェンジャオ)だろう。鍋貼との違いは水を加えて蒸す過程があるかないかだから、日本のギョウザの作り方とも比較的近い。とはいえ、中国のギョウザの皮はもっちりしていて、日本のギョウザのようなパリパリ感がない。やはりギョウザもラーメン同様、大きく改良が加えられており、中国の餃子とは別物になっている。

 さて、ここまでが長い前置きで、本題はここから。チャーハンについてだ。チャーハンは中国では炒飯(chǎo fàn:チャオファン)と呼ぶ。こちらも至ってポピュラーな料理だ。とはいえ、中国の炒飯の定番は「蛋炒飯(dàn chǎo fàn:ダンチャオファン)」といって、卵だけを使ったシンプルなもの。

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http://www.xiachufang.com/recipe/100384722/

 以前、蘇州のお隣・崑山の巴城というところに上海蟹を食べに言った際、その店で飼っていた鶏の朝採れ卵を使った蛋炒飯を食べたことがあるのだが、それを超えるチャーハンに出会えないでいる(蟹よりも百倍くらい美味かった)。

 話がそれた。さて、日本のチャーハンといえば、チャーシューにネギ、それに冷凍のミックスベジタブル(グリンピースにニンジンにコーン)を入れるのが定番。

delishkitchen.tv

 このように肉や野菜を具材に入れるのも、果たして日本のオリジナルなのであろうか? ここで、やっと登場するのが「揚州」の地名だ。日本のチャーハンのルーツはズバリ「揚州炒飯(yáng zhōu chǎo fàn:ヤンジョウチャオファン)」。本場・中国でも様々な色鮮やかな具が入った炒飯といえば、揚州炒飯なのである。

 しかし、なぜ江蘇の地方都市である揚州の料理が中国全土はおろか、日本にまで伝来したのか? それは、揚州炒飯が豪華だったからに尽きる。揚州に炒飯文化が伝わったのは隋代に遡る。京杭大運河を使った煬帝が無類の炒飯好きで、揚州を訪れた際に炒飯を伝え、それが定着したという。もっとも米文化のない北方出身である隋の皇帝が炒飯好きというのが無理のある話で、江南が米どころであったからこそ定着したと考える方が無理がない。

 この当時、食べられていたのは主にシンプルな蛋炒飯だったと考えられるが、明清代になると塩商によって揚州は中国きっての煌びやかな街となった。ちょうど運河の中心にあったということもあり、様々な中国の特産品が揚州に集まっていたのである。

 そんな中、当時の揚州太守であり、書家としても名高い伊秉綬がエビやハムなど、高級食材をふんだんに使った炒飯を作って食べた。いわゆる酔狂の部類だ。こうして見た目も華やかな揚州炒飯が誕生したと言われている。

 揚州の街を歩くと、至る所で「揚州炒飯」の看板を見る。しかしながら、出てくる炒飯といえば、上海の大衆食堂で出てくる揚州炒飯の具とそれほど変わらないし、味も美味くない。僕は観光地で定番料理を食べると大抵外れるという信念を持っているのだが、揚州炒飯こそ、まさにそれが当てはまる(大体、贅を尽くしたハズの揚州炒飯が20元そこらで食べられること自体、間違っている)。

 したがって、ここでは正しいと思われる揚州炒飯のレシピを公開したいと思う。材料が手に入るという人は、ぜひとも作ってみてほしい!参考としてアマゾンのリンクもつけてみたぞ!

 

◆正しい揚州炒飯の作り方

(材料)

・長粒米(インディカ米)

・卵

・干しナマコ

・鶏もも肉

・金華ハム

・干し貝柱

・エビ(本来は淡水エビ)

・干し椎茸

・タケノコ

・青エンドウ(グリーンピース)

・ネギ

・チキンブイヨン

 …すげー、全部揃えると、税込で4万越えるな。まさに贅を尽くしたチャーハン!

 

(作り方)

  1. ご飯を炊く(水は少なめに)
  2. 卵をボウルに入れ、撹拌しておく
  3. 中華鍋に油をひき、エビをサッと炒める。炒めたエビは取り出しておく
  4. 干しナマコと干し椎茸を水で戻し、鶏もも肉と一緒に火が通るまで煮る
  5. 鍋から具を取り出し、鶏もも肉を食べやすいサイズに切る
  6. お湯にチキンブイヨンを加え、干し貝柱とエビを投入。紹興酒と塩で味付けする
  7. タケノコと金華ハムを4mm四方に切る
  8. ネギをみじん切りにする
  9. 中華鍋に植物油をひく
  10. ナマコ、椎茸、鶏肉、タケノコ、金華ハムを鍋に投入する
  11. 続けて貝柱とエビをスープと一緒に鍋に加える
  12. スープが半分ほど蒸発したら、卵を投入し、半熟になるまで炒める
  13. 米とネギを加え、さっと炒めて完成

 んー、なんだか作るの面倒臭そう(具材揃えるのも大変だし!)。ちなみに、銀座の「秦淮春」という店で本格揚州炒飯が食べられるらしい。

chahandou.jp

 こっちで良くね? 無論、こだわりのある人は、ぜひ自宅で本格揚州炒飯を作ってみてほしい!

 

<今日の中国語>

粘糯(nián nuò)ニェンヌオ:もちもち。もちもち食感は「口感粘糯(kǒu gǎn nián nuò:コウガンニェンヌオ)」

鸡蛋(jī dàn)ジーダン:鳥の卵。マドリーの監督の名前に似ているが、そっちは「齐达内(qí dá nèi:チダネィ)」と呼ぶ

什锦蔬菜(shí jǐn shū cài)シージンシューツァイ:ミックスベジタブル

 

 

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