アラウンド・チャイナ

ガイドブックにはあまり載らないニッチな中国旅行指南

太湖に行くなら西山へ①〜漁洋山から西山大橋&太湖を望む!〜

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漁洋風景区から見た太湖大橋

 江蘇省の地図を見ると、その南部に巨大な湖が広がっているのがわかる。どれくらい巨大かといえば、その広さ2420㎢! なんと日本一の広さを誇る湖、琵琶湖の3.4倍にもなる。

  上の地図を見ればわかるように、東は蘇州、北は無錫、西は宜興にまたがり、南は浙江省の湖州であるから省境の役割をも果たしていることになる。この太湖、面積はでかいが、水深は平均2mとかなり浅い。したがって太「湖」と称しているが、分類上は沼であり、日本で言えば霞ヶ浦や印旛沼と同じ扱いになる。

chigai.soudesune.net

 この太湖の光景は市街地からの距離の近さもあって、無錫が有名である。かの尾形大作のヒット曲「無錫旅情」にも太湖の光景が歌われているほどだ。

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  しかしながら地元の人に言わせると、太湖の光景に定評があるのは蘇州だという。確かに太湖東部は市街地から離れているだけあり、人の手があまり入っておらず、自然がそのまま残されているのが特徴。また島や半島があるため、起伏も激しく、自然が様々な表情を見せてくれる。なるほど無錫の太湖というと、鼈頭渚公園のほか、三国城や霊山大仏などテーマパークが多い。

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 しかしながら蘇州はといえば西山、東山、光福と風光明媚な場所が並ぶ。雄大な太湖の原風景を味わいたければ、蘇州側の太湖を見よ、というわけである。

 とはいえ光福から東山まではかなり距離があるから、蘇州に住んでいるという人ではない限り、全部まわるのはなかなか難しい。そこでオススメしたいのが西山だ。西山は太湖最大の島群であり、観光地が多いのが特徴。しかも蘇州駅からバス一本で行けるなど、アクセスも便利だ。

 ということで、今回から3回にわたり、自然豊かな西山の魅力についてお伝えすることにする。第一回は蘇州と西山を結ぶ太湖大橋(tài hú dà qiáo:タイフーダーチャオ)だ。

 え、自然豊かなと言っておいて、いきなり人工建造物!…というツッコミは承知の上だが、この橋、結構スゴイ。橋梁が低く、湖面が近い上に、左右に遮るものがないため、まるで湖の上を疾走している気分になるのだ(したがって本当は車高の高くない乗用車かなんかで通った方が迫力がある)。

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島までひたすら直線。まるで吸い込まれるような感覚が味わえる

 このように爽快感を味わえる橋であるが、残念ながら全長4308㎞というスケール感は通過しているだけではなかなか実感できない(3つの島全ての橋及びその間の道路の総距離数であり、橋そのものの長沙ではない)。そこで、オススメしたいのが橋を実際に通る前にその全景を眺めること。それにピッタリなのが、橋のすぐそばにある漁洋山(yú yáng shān:ユーヤンシャン)だ。

 山と聞いてゲンナリする人もいるやもしれぬが、この山、歩いて登る必要はない。リフトが設置されていて、あっという間に山頂にたどり着くことができるのだ。もっともスキー場にあるリフトと一緒なので、足を置く場所がないため、高所恐怖症の人にはちと辛い(実は筆者はかなりの高所恐怖症)。

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漁洋山風景区の入り口。すぐにリフト乗り場がある

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景色は素晴らしいが、いかんせん高い!

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足元は松林。とても落ちても平気とは言い切れない環境

 歩かなくていいものの、大量の冷や汗をかいて頂上に到着。頂上には楼があり、登って、さらに高い場所から太湖を眺めることができる。

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頂上に立つ漁洋閣

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太湖大橋を望む。長沙島を結ぶ第一大橋の長さは約1.6kmほど

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右手前は水族館。左奥は東山

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楼を北に回れば、なんと光福側の太湖も望める

 ここからなら全長が最も長い(約1.6km)第一大橋を完全に見ることが可能。橋は最初と最後が船を通すため盛り上がっているものの、中央部分はかなり水面に近いことがわかる。こうした作りは、どこか以前紹介した宝帯橋に似ている。

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 長沙島、葉山島と連なる西山全景が眺められるほか、南に目を移せば東山、さらに漁洋楼の北に回れば、なんと光福の太湖も見ることができる。文字通り360度ビューが楽しめるのであるが、漁洋山は太湖の東端に位置するため東側は穹窿山や霊岩山といった蘇州の山々。とはいえ、太湖を180度パノラマビューができる場所は、貴重だといえる。

 

 ちなみに、この漁洋山、あまりメジャーではないのか、はたまた皆、西山へ道を急ぐかわからぬが、これだけの絶景を堪能できるのに、いつ行ってもあまり人がいない。リフトも列を並ばずに乗れるので(というか、空のリフトが動いていることの方が多い)、ストレスなく観光できるのもポイントだ。

 太湖大橋と、そこから連なる西山の全貌を堪能したら、帰りはぜひスライダーに乗りたい。山頂から麓まで巨大な滑り台が設置されていて、ブレーキ付きのスライダーに乗って一気に下る。これなら落ちる心配もないし、カーブが多いので、そんなにスピードも出ない。それに大人になって滑り台で遊ぶ機会はなかなかないので、なんだかとても楽しい。

 

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帰りはスライダーで疾走

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もちろん太湖の雄大な景色を眺めながら滑れる

 西山に行くなら、まずはリフトの上から、楼の上から、そしてスライダーで滑りながら、太湖大橋の全景と西山の雄大な光景を堪能することを強くオススメしたい。

 

 <DATA>

渔洋山风景区

交通:蘇州駅南広場バスターミナルよりバス快線11号で漁洋公園下車、徒歩約3分(210m)

料金:80元/リフト代40元/スライダー50元

時間:8:30-17:00※11/1-3/31は16:30まで。 火曜休み※11/1-3/31は月火休み。

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<今日の中国語>

风景区(fēng jǐng qū)フォンジンチュー:景勝地。中国では景勝エリア全体を指す場合が多い

缆车(lǎn chē)ランチャー:リフト。広義には上下に動く乗り物を指し、その場合、ロープウェイやケーブルカーなども含まれる。リフトは中国では一般的な乗り物ではないので、缆车と呼ぶことが多い。

滑道(huá dào)ファーダオ:スライダー

 

 

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