アラウンド・チャイナ

ガイドブックにはあまり載らないニッチな中国旅行指南

君の知らない異国の街へ!無錫旅情の歌碑を訪ねる!

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鼈頭渚公園に設置された「無錫旅情」の歌碑

 中国は広く、多くの都市があるが、それでも世界的に知られているのは北京と上海くらいなものだろう。ほか、歴史好きの人ならば西安、洛陽。場合によっては敦煌なんて名前も出てくるかもしれない。

 しかしながら、世代によっては、ある一地方都市の名が心に刻まれている。

 無錫である。

 無錫と聞いてピンと来ないのは、おそらくアラフォー以下の世代の方々。アラフィフ以上の世代は、無錫と聞くと、「あぁ、尾形大作ね!」となるのである。

 しかし、「尾形大作って誰?」ってなるのも、ある種、当然。なんせ、すっかりテレビで見なくなったからだ。試しにオリコンで出演情報を見てみると、最新の登場は2018年の「爆報!THE フライデー【芸能人の田舎暮らしSP】 」で、その前はなんと遡ること4年前の「関ジャニの仕分け∞特別編 豪華3本立てSP 」。ほぼオリンピック間隔でしかテレビに出てないことになる。

www.oricon.co.jp

 ほか、尾形大作で検索しても、事務所を干されたとか、趣味のモトクロスの話題しか出て来ない。というか、芸能活動続けているなら、公式サイトくらい用意してほしいものだが…。

 ということで、尾形大作について簡単に説明すると、1981年のデビューの後、1986年に発売した『無錫旅情』が空前のヒットを記録。なんと累計130万枚以上も売り上げた。握手券付きのAKB48の『恋するフォーチュンクッキー』が累計150万枚くらいだから、その凄さがわかると思う(尾形大作、余裕で神7入り)。

matome.naver.jp

 ちなみに、その年のオリコンの年間チャートは第8位。順位を見ると、少年隊やキョンキョン、長渕剛を上回っているのだから、それまで無名の歌手の曲だったことを考えれば凄まじい。

youtu.be

 実際、当時は日本の街中でこの曲が流され、サブリミナル効果のように「無錫」の名が脳に刻まれた。結果、「無錫ってどこにあるかわからないけど、名前は知ってる」という感じの都市になったのである。

kotobank.jp

 どうも当時は、この曲のヒットの影響で、無錫に旅行する日本人が増えたらしい。それだけでなく、尾形大作氏も無錫に招待され、市民ホールでコンサートを開き、どうやら無錫の人に日本文化を伝える、いわば伝道師的な役割も担っていたようだ。日本ではすっかり「あの人は今」状態になっているが、無錫では未だVIPで無錫名誉市民の称号を授与。僕は訳あって、尾形大作氏と直接電話で話したことがあるのだが、太湖のほとりにペントハウスを一軒もらう約束になっているらしい。

 そして歌詞にも歌われた「太湖のほとり」には、無錫旅情の記念碑も建てられている。それがあるのが、鼈頭渚公園(yuán tóu zhǔ gōng yuán:ユェントウジューゴンユェン)。無錫屈指の景勝地として知られている。

 それにしても鼈頭渚とは奇怪な名だが、鼈とはスッポンのこと。渚という漢字は中国で使うことは稀で、日本では「波打ち際」の意味だが、中国では島とか岬のような意味合いで使われる。つまりは「スッポンの頭岬」と解するのが正しく、なるほど空中写真で見ると、スッポンの首のように見えなくもない。

  さて、この鼈頭渚公園とはどんな場所か?と聞かれるとなかなか難しい。なんせ文字通りの公園で、ある意味、何もないといえるからだ。もともと鼈頭渚は太湖を眺める景勝地と知られ、昔から多くの富豪がこぞって別荘を建てた。有名どころで言うと民国総統の蒋介石も、ここに別荘を建てていたらしい。

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無錫を代表する景勝地・鼈頭渚

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太湖別墅とあるが、別墅は別荘のこと

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都会の喧騒を離れた、まさに別荘らしい風景

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道すがら鳥の巣箱を発見。よく見ると、なんかいる!!

 鼈頭渚公園に来たら、ぜひとも足を運びたいのが、「無錫旅情」の三番に登場する鹿頂山だ。山といっても標高は95mしかないので山というより丘なのだが、この頂上には鹿頂迎暉という楼が建てられており、絶景が待っている。西を眺めれば瓢箪型の仙島越しに雄大な太湖を、北東を眺めれば蠡湖越しに無錫市街と自然と都市のコントラストを楽しめる。

www.uta-net.com

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鹿頂山山頂に建てられた鹿頂迎暉

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鹿頂迎暉から太湖を望む。瓢箪型の島が仙島

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振り返れば無錫市街。右に広がるのは日本人も多く住む新区エリア

 ほかに見ておきたいのが日本の桜が見られる桜花谷(毎年、桜花節を開催)と冒頭にも紹介した無錫旅情の歌碑。日本のヒット曲が中国語訳されている歌碑など、かなりレア。ぜひ石碑の横に立って、「無錫旅情」を口ずさんでほしい。歌に自信がある人なら熱唱すれば、そこはイベント好きな中国人のこと、瞬く間に集まって、拍手喝采してくれるはずだ。

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中国語で書かれた無錫旅情の歌詞

  この他にも古典園林や昔ながらのジャンク船が置かれていたりと見所はあるのだが、ともかくだだっ広いので、間延びする。正直、全部回るのはかなりしんどい。

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かつて太湖に浮かんでいた船であるジャンク船

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太湖といえば園林には欠かせない太湖石

 ということで、入り口の地図を見て、ピンポイントで見て回るというのが鼈頭渚公園の正しい楽しみ方。時には有料のシャトルバスも活用して、効率よく回れるとベターだ。

 なお、鼈頭渚公園のチケットは90元と少し高いのだが、実は船代が含まれている。文中でも触れた瓢箪型の島・仙島へ行くことができるのだ。この仙島、なかなかインパクトの強い島で見所が多い。したがって、仙島については次回に紹介することにしたい。

 

 <DATA>

鼋头渚公园

交通:無錫駅からバス楽旅1合繊で鼈頭渚(充山)下車、徒歩約21分(1.7m)

料金:90元(140cm以下の子供は50元)

時間:8:00-17:30 ※冬季は17:00まで

goo.gl

 

<今日の中国語>

畅销唱片(chàng xiāo chàng piàn)チャンシャオチャンピェン:ヒット曲

别墅(bié shù)ビエシュー:別荘

卡拉OK(kǎ lā ok)カラオケ:カラオケ

 

 

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