アラウンド・チャイナ

ガイドブックにはあまり載らないニッチな中国旅行指南

八大菜系のひとつ安徽料理はとってもワイルドだぜぇ〜!

f:id:morientes-jp:20190913120112j:plain

霊壁の鶏料理

  以前、当ブログで中華料理の四大菜系の話を書いた。www.morientes.jp

 復習がてら、四大菜の名前をあげると、粤菜(広東料理)、川菜(四川料理)、苏菜(江蘇料理)、鲁菜(山東料理)の4つになるが、この他に八大菜系という分け方もある。上記の4種類の料理のほか、以下の4種が追加される。

闽菜(mǐn cài)ミンツァイ:福建料理

湘菜(xiāng cài)シャンツァイ:湖南料理

浙菜(zhè cài)ジェーツァイ:浙江料理

徽菜(huī cài)フイツァイ:安徽料理

 日本人にとって、福建料理は広東料理と並んで馴染みのある料理だろう。海が近いため、中華では珍しく海鮮食材が多く、また出汁として牡蠣をよく使う。ちなみに、日本で人気の台湾料理も、そのルーツは福建料理にある。

 湖南料理は、中華の中でも激辛料理として知られる。激辛といえば四川料理が有名だが、四川が麻辣(má là:マーラー=痺れる辛さ)なのに対し、湖南は酸辣(suān là:スアンラー=酸っぱ辛い)なのが特徴。また四川系の火鍋が辣油で真っ赤なのに対し、湖南系の火鍋は表面が唐辛子で覆われ、具が見えないことで知られる。

 浙江料理は系統としては江蘇料理に属すので、八大系に名を連ねるのは少々意外であった。浙江料理の代表といえば、东坡肉(dōng pō ròu:ドンポーロウ=トンポーロー)。甘塩っぱい味付けが特徴。なお、浙江料理については以前も触れた。

www.morientes.jp

 さて、最後が本日の主役、安徽料理だ。一口に安徽料理といっても、地域によって素材や味付けがかなり異なる。大きく分けると南部・中部・北部の3種類。それぞれ紹介しよう。

 

●皖南菜(wǎn nán cài:ワンナンツァイ)

 安徽省南部の黄山周辺の料理の総称。このあたりは安徽省の徽州と呼ばれる地域で、徽菜といえば安徽料理のことだから、皖南菜こそが安徽料理の代表だと言ってしまっても過言ではない。

 ちなみに、皖南菜の代表料理といえば、鱖魚(ケツギョ)という高級魚(もちろん淡水魚)を使った「腌鮮鱖魚」。

https://gss1.bdstatic.com/-vo3dSag_xI4khGkpoWK1HF6hhy/baike/c0%3Dbaike80%2C5%2C5%2C80%2C26/sign=be8f0907a31ea8d39e2f7c56f6635b2b/1e30e924b899a901c17de58a18950a7b0308f5c6.jpg

https://baike.baidu.com/item/%E7%9A%96%E5%8D%97%E8%8F%9C

 なお、もうひとつ、中国には臭豆腐という、いわゆる発酵した豆腐を揚げて食べる料理が有名だが、その一種である「毛豆腐」が有名。この毛豆腐、豆腐にカビを生やせ、そのカビの菌株が伸びたものを使用するという、なんともおぞましい料理。

https://gss1.bdstatic.com/9vo3dSag_xI4khGkpoWK1HF6hhy/baike/c0%3Dbaike80%2C5%2C5%2C80%2C26/sign=6055719e9e2bd40756cadbaf1ae0f534/0d338744ebf81a4c387e037fde2a6059252da63c.jpg

https://baike.baidu.com/item/%E6%AF%9B%E8%B1%86%E8%85%90/8556820?fr=aladdin

 うへー、見ているだけで気持ち悪い…。勇気のある人は、ぜひ試してほしい。

 

●沿江菜(yán jiāng cài:ヤンジャンツァイ)

  沿江菜は安徽省の「安」の字である安慶や銅陵、蕪湖といった中部エリアの料理。本来、その北に位置する合肥周辺は蘆洲菜と呼び、沿江菜と分けることが多いが、その料理に違いがあまり見られないので(というか、僕にはよくわからなかったので)、ここではまとめることにした。南京に近いということもあり、鴨や鶏、鶉を使った料理など、南京料理の影響が強いのが特徴(写真は蘆洲烤鴨)。

https://gss1.bdstatic.com/9vo3dSag_xI4khGkpoWK1HF6hhy/baike/c0%3Dbaike116%2C5%2C5%2C116%2C38/sign=cd7aff26caef7609280691cd4fb4c8a9/cf1b9d16fdfaaf5132507a048d5494eef11f7ade.jpg

 https://baike.baidu.com/item/%E5%BA%90%E5%B7%9E%E7%83%A4%E9%B8%AD/2576995

 ちなみに南京料理は過去の記事が詳しいので、ぜひご参照あれ。

www.morientes.jp

 

●沿淮菜(yán huái cài:ヤンワイツァイ

 合肥の北を流れる淮河から北部にかけての料理。中部の沿江菜同様、鶏を使った料理が中心であるが、唐辛子を用いた辛い味付けになっているのが特徴。ちなみに以前、当コラムで紹介した淮南牛肉湯も沿淮菜で、辣油が入っているのがデフォだ。

f:id:morientes-jp:20190801103153j:plain

淮南牛肉湯

www.morientes.jp

 ちなみに項羽の妻・虞姫の墓のあった霊壁も、この沿淮菜のエリア。立ち寄ったレストランの料理があまりにもワイルドだったので、紹介するぜぇ〜!

ameblo.jp

f:id:morientes-jp:20190913141830j:plain

今回お邪魔したのは「蓮香楼」というレストラン

f:id:morientes-jp:20190913142130j:plain

店内はガラガラで、個室に通される

 と、ここまでは普通のレストランだが、「このあたりの名物料理は?」と聞くと、従業員に手招きされたぜぇ〜!ついていくと、裏庭に鶏がいたぜぇ〜!選ぶぜぇ〜!しばらくすると厨房から悲痛な鳴き声が聞こえてきたぜぇ〜!料理として出てくるぜぇ〜!食うぜぇ〜!ワイルドだろぉ〜!

www.youtube.com

 魚料理を食べるのに生簀で魚を選ぶのはよくあるけど、食べる鶏を選ぶというのはちょっと…。この事実を知らずに、食べられた方が良かった。

f:id:morientes-jp:20190913142513j:plain

この中の一匹を指名。数分後の運命を思うと泣けてくる

f:id:morientes-jp:20190913120112j:plain

変わり果てた姿で登場。単にぶつ切りしただけのワイルドな状態で提供

 一匹まるまる使うので、数種類の料理を作ってくれるのかと思いきや、なんと大皿一枚で登場。写真で見てわかるように、これでもかと唐辛子がぶちこまれているので、とても辛い。そして鶏の足はいらない。

 ということで、安徽料理はとてもワイルド。食べた店が悪かったのかもしれないが、なぜこの料理が八大菜系に含まれているのか、今でも謎だ。

 

<今日の中国語>

臭死(chòu sǐ)チョウス:すげー臭い。死ぬほど臭い

变态辣(biàn tài là)ビェンタイラー:超絶辛い。字ではBT辣と書く

野性(yě xìng)イェシン:ワイルド

小杉(xiǎo shān)シャオシャン:スギちゃん、小杉という日本人の苗字、出木杉くんの中国での愛称

 

 

 ↓ ランキングに参加してます。よろしければクリックを 

にほんブログ村 旅行ブログへ