アラウンド・チャイナ

ガイドブックにはあまり載らないニッチな中国旅行指南

【閑話休題】中国に行ったら見たい!京劇や雑技などの伝統演劇の基礎をおさえよう!

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Photo by (c)Tomo.Yun(http://www.yunphoto.net

  僕が中国に興味を持ったきっかけのひとつに京劇がある。正月の深夜、たまたまテレビをつけたところ放映していたのが陈凯歌chén kǎi gē:チェンカイグー)監督の映画「霸王别姬bà wáng bié jī:バーワンビエジー)」。何気なくつけたのだが、多指症の少年の指を母親が包丁で切り落とすシーンに衝撃を受け、そのまま目が離せなくなった。172分もの超大作だが、まさに釘付けになって見た覚えがある。

  2001年に北京に旅行に行ったのも本場・中国で京劇の「覇王別姫」の舞台が観たいということであったし、立ち寄った北京の兰芳纪念馆méi lán fāng jì niàn guǎn:メイランファンジーニェングァン)では、兰芳のご子息である梅葆玖(méi bǎo jiǔ:メイバオジュー)氏にお会いし、お話しすることもできた(当時は中国語がちんぷんかんぷんだったが、たまたまテレビの撮影中で、スタッフに日本語ができる人がいた。残念ながら2016年に亡くなったが、貴重な経験だったと思う。 

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 ということで、中国の伝統芸能に関しては、ちょっぴり興味があるのだが、演劇ひとつとっても料理同様、地域ごとに異なり、なかなか奥深い世界である。そこで中国の代表的な演劇を紹介しながら、中国劇の魅力について迫りたいと思う。

 まず、中国には五大劇というものがある。

京剧(jīng jù)ジンジュー:京劇は北京の演劇の意

越剧(yuè jù)ユエジュー:越は浙江省エリアの名称

评剧(píng jù)ピンジュー:河北省から遼寧省の東北地方の演劇

豫剧(yù jù)ユージュー:豫は中原と呼ばれる河南省エリアの名称

黄梅戏(huáng méi xì)ホワンメイシー:安徽省から湖北省にかけての演劇

 どれも伝統のある演劇だが、正直、僕も含め素人に区別がつくような代物ではない(第一、使っている言葉が方言なので、何を言ってるのかわからない)。そこで、今回は観光客が見ても楽しい伝統演劇を紹介する。

 

京劇

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京劇「覇王別姫」

 やっぱりキング・オブ・中国演劇といえばコレ。宮廷演劇として発展してきたため、他の地域の演劇に比べ、衣装も演出も派手で豪華。ゆえに文化大革命の際に富の象徴として弾圧にあった(女優であった四人組の江青が男性社会であった京劇を毛嫌いしていたという説もある)。日本の歌舞伎と同様、男性社会で女性役は女方が務める(最近は女優も出現している)。ほか、歌舞伎の「梨園」という言葉は京劇が発祥で、共通する点が多い。なお、京劇の演目は三国志や西遊記、水滸伝と日本人にとっては身近な題材が多い。そのため言葉がわからなくとも、それなりに楽しめる(北京の劇場であれば、大抵は英語字幕ならある)。

【代表演目】映画の題材にもなった「覇王別姫」であろう。項羽と虞美人の最後の別れを描いた作品。垓下にて漢軍に包囲され、楚歌を耳にし最後を悟るのはあまりにも有名な話だ(四面楚歌)。なお、項羽と虞美人の話は演目として存在したが、それを「覇王別姫」という形でまとめたのは、京劇の神様・梅蘭芳だと言われている。

 

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前门建国饭店梨园剧场

交通:地下鉄7号線虎坊橋から徒歩9分(660m)

時間:19:30-20:40

演目:覇王別姫/三岔口/座宮/貴妃醉酒

料金:400/300/180/120元

goo.gl

 

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越劇

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越劇・梁山伯與祝英台

 越は浙江省のこと。浙江省の省都は杭州だが、呉越の越の時代の中心地は紹興酒で有名な紹興である。京劇が中国の歌舞伎なら、越劇は中国の宝塚歌劇団。もともとは京劇同様、男性のみで構成されていたというか、さすがは郷土の英雄が秋瑾というお土地柄、女性が進出したかと思えば、女性が中心となり、今では女性だけで構成される演劇となった。京劇が英雄談を好むのに対し、越劇は男女の恋愛模様を描いた作品が多い。

【代表演目】中国ではドラマにもなっている「梁山泊與祝英台」。実は地元・浙江省が舞台の説話だ。当時、勉学は男性のみに許されていたが、どうしても勉強をしたかった祝英台は男装をして入学。そこで出会った梁山伯に恋するが、梁山伯は女性とは気づかないという展開。どこかベルばらっぽい話で、宝塚の演目にあっても不自然ではないお話。杭州に行くと、二人が通った学校などの観光地もある。

  

<DATA>

绍兴大剧院

交通:紹興駅からバス23路で華聯商厦(秋瑾記念碑)下車、徒歩3分(240m)

時間・演目・料金:日によって異なる

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昆劇

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昆劇・牡丹亭

 昆は蘇州の東に位置する昆山のこと。この地で昆劇が誕生するのは元末から明初にかけてのこと。京劇を始め、ほとんどの演劇が清代に成立していることを考えると、かなり早いことがわかる。昆劇は士大夫(蘇州庭園を作った人たち)の屋敷に出張し、そこで演じたのが始まり。したがって劇としてはこじんまりし、京劇に比べれば出演者も少ないし、アクロバティックな動きも少ない。2009年にユネスコの無形文化遺産に登録。歌舞伎の坂東玉三郎が演じたことでも有名。

【代表演目】昆劇とイコールになるほど有名な演目が「牡丹亭」。男性に恋い焦がれた死んだ女性が絵となり、男性のもとへ。男性がその絵の女性に恋心を抱くと、女性の幽霊が枕元に現れ、庭を掘り起こせと命じる。男性がそのようにすると棺が現れ、女性が生き返るというトンデモ話だ。なお、言葉は全編蘇州語なので、日本人はおろか大半の中国人にもわからない。

  

<DATA>

苏州昆剧院

交通:蘇州駅北広場からバス1/202/178路で平門下車、徒歩5分(360m)

時間:19:00-22:00

演目:牡丹亭など(日により異なる)

料金:200元

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●川

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変臉ショー

 以前も紹介した四川省に伝わる地域演劇。その代表が「変臉」といって、瞬時につけているマスクの図柄を変えるという伝統芸だ。

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 演劇と言っても「変臉」に至ってはストーリー性は皆無。火吹き芸などもあり、どちらかというと大道芸に近い。芸術性は評価されていないため五大劇には含まれないが、中国では最も人気のある演劇として知られている。

【代表演目】川劇でよく演じられるのは「白蛇伝」。白蛇の化身・白娘子が人間の若者・許仙と恋に落ち、結婚。白娘子の手による秘伝の薬が売れて金持ちとなるが、そこに金山寺の修行僧・法海が現れ、正体がバレてしまうという話だ。中国では大変有名な話であり、四川とは全く関係のない話(舞台は杭州)。川劇は演目を楽しむというよりもエンターテインメントを楽しむ感覚で訪れたい。

 

 <DATA>

锦江剧场

交通:成都駅から地下鉄7号線火車北駅から駟馬橋まで乗り3号線に乗り換え、市二医院下車、徒歩7分(560m)

時間:20:00-21:30

料金:280/200/150元

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●雑技

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上海雑技

 北京を代表する演劇が京劇だとすれば、上海の場合はやっぱり雑技だろう。実は雑技は上海のものではなく、それこそ中国全土に劇団があるのだが、なぜか日本では上海雑技団だけが有名になってしまった(日本人は上海こそ雑技の本場と思い込んでいるが、実はそんなことはない)。劇場としては商城劇場と馬戯城、雲峰劇場などがあるが、馬戯城や雲峰劇場に行った人の中には「雑技というよりサーカスだよね」と言う人もいる。実は中国において、サーカスと雑技は同義で、アクロバティックなショー全体を「雑技」と呼ぶ。とはいえ、日本人が見たいのは、皿や椅子を回したりする、正月の隠し芸的な雑技。それならば商城劇場の演目が一番しっくりくると思う。

 

 <DATA>

上海商城剧院

交通:地下鉄2号線静安寺駅下車、徒歩9分(700m)

時間:19:30-

料金:380/280/180元
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