エンタメ要素満点の伝統芸能・川劇「変臉ショー」を楽しもう！
成都特集第二弾は伝統芸能「川剧（chuān jù：チョアンジュー）」を取り上げたい。中国に地方劇は星の数ほどあれど、この川剧がー京劇を除いてー突出して有名なのは、ひとえに「变脸（biàn liǎn：ビェンリェン）」のためだと思われる。日本語ではたまに「変顔」と紹介され、なにか「にらめっこ」のような印象を与えがちであるが、変臉とはさながらメキシコのマスクマンのような人が登場し、瞬時にマスクの図柄を変えるというショーのことだ。大抵はマントのようなもので顔を隠し、マントを取り去ると顔が変わっているという演出が多い。その間、1秒もないほどの早業。この仕掛けについては、なんと第一級国家機密として守られているという噂がある…。
この変臉、一人でもショーが成立することから、成都に限らず、中国中の街のあちこちで見られる。ちょっと高級な四川料理店では必ずショータイムがあるし、デパートのオープニングイベントでもよく登場する。ちなみに、今や中国に限らず、横浜中華街でも見られたりする。
と、あまり有り難みのない変臉ショーだが、せっかく成都に来たのだから本場で見たいという人にオススメなのが、锦江剧场（ jǐn jiāng jù chǎng：ジンジャンジューチャン）で行われている「芙蓉国粹川剧变脸秀（fú róng guó cuì chuān jù biàn liǎn xiù：フーロングォツイチュアンジュービェンリェンシュー）」だ。いわば、観光客向けの四川伝統芸能ショー。地元の人が来ることはなく、訪れた際もヨーロッパからの団体客のみで、個人客は僕だけであった。
川劇の起源は唐代に遡ると言われているが、「川劇」という名が資料に現れたのは清末民初と言われており、実際、それが正しいと思われる。川劇の代表作は「白蛇伝」と「金山寺」であるが、どちらも全国的な戯曲で四川の話ではない。清代に全国的に流行した伝統劇が四川に流れ込み、土着化したものと思われる。
ただ、川劇が他の地域伝統劇と異なったのは伝統に縛られず、エンターテインメントに徹したということだ。例えば京劇は奥が深く、知れば知るほどその魅力にハマることがあるが、一般的にその世界観はわかりずらく、興味がない人にとってはさしておもしろいものと思わない。一方で川劇といえば、変臉を始め、雑技に火吹きなど、やってることは大道芸そのもの。すなわち京劇が歌舞伎だとすれば、川劇は浅草演芸ホールで行っている寄席に近い感覚がある。予備知識なく楽しめるのが、川劇の良さだ。
それでは、「芙蓉国粹川剧变脸秀」で行われる演目について紹介してみよう（紹介した内容は以前のものであり、現在のものとは異なります。あらかじめ、ご了承ください）。
さて、もちろんトリは変臉ショーだ。さすが成都を代表する劇場での公演だけに、複数の役者が一気に登場する。豪華だ。
マスクマンは素顔を無闇にさらけ出さないで欲しいと思うのが、プロレスファンの思いであるが、変臉ショーでは次々に素顔を晒し、最後は舞台に派手な衣装を着たおじさんとお姉さんが並ぶという構図になってしまう。きっと変臉ショーでは、最後は僕が、私が演じていましたよというセレブレーション的な意味合いで素顔になるものだと思われる。でも、やっぱり素顔じゃない方が良かったように思う。
やはり長年続いているエンターテインメントだけに、観るとやっぱりおもしろい！あまり観光客には人気がないみたいだけど、成都に来たら見なきゃ損な気がする。
＜DATA＞
锦江剧场「芙蓉国粹川剧变脸秀」
交通：成都駅から地下鉄7号線火車北駅から駟馬橋まで乗り3号線に乗り換え、市二医院下車、徒歩7分（560m）
時間：20:00-21:30
料金：280/200/150元
＜今日の中国語＞
娱乐（yú lè）ユールー：エンターテインメント
活动（huó dòng）フォードン：イベント
喷火（pēn huǒ）ペンフォー：火を噴く
摔跤（shuāi jiāo）シュアイジャオ：レスリング
↓ ランキングに参加してます。よろしければクリックを
