あの孫権が盗掘していた?池の形から虎丘・剣池の正体を推測する!
蘇州の北に「虎丘」という蘇州屈指の観光地がある。高さ36mという小山で、山頂に中国版ピサの斜塔と称される雲岩寺塔が建っていることで有名だが、ほかにも様々な故事にちなんだ観光スポットが集まっていることで知られる。さながら、伝説のテーマパークのような場所だ。主だった見所を列挙してみよう。
- 盲目の老僧が井戸を発見し、目が治ったことで知られる「憨憨泉」
- 干将・莫邪夫婦が作った伝説の剣を呉王・闔閭が試し切りした「試剣石」
- 蘇州を代表する芸術家・唐伯虎と秋香が石投げで遊んだ「枕石」
- 唐代の名妓で操に守るために自殺した絶世の美女・真娘の墓「真娘墓」
- 茶道の創始者・陸羽が名水と定めた「天下第三泉」(第五泉という説もあり)
- 孫武(孫子)が兵の秩序を守らせるため呉姫を叩き斬った「孫武演兵場」
- 闔閭の死後、墓の造営に携わった人々を皆殺しにした「千人岩」
- 闔閭と共に埋葬された名剣を探すため、三国・呉の孫権が掘らせた「剣池」
これだけのスポットが一堂に会しているとなると、もはや眉唾でしかないが、気になるスポットがひとつある。最後に紹介した「剣池」だ。この剣池、手前が広く、奥は右側だけが鋭角に狭まっているのが特徴で、剣の形に似ていることからこの名がついたと言われるが、この池の形がポイント。なんか既視感があると思ったら、それもそのハズ、江南地方の豪族の墓の形と酷似しているのだ。
蘇州のお隣に、尾形大作のヒット曲の舞台として知られる「無錫」という街があるが、その無錫市東部の蘇南空港(みんなは無錫空港と呼ぶ)のそばに「鴻山遺址博物館」という博物館がある。江南地方に住む豪族の陵墓が発掘された状態のまま展示されているのだが、問題は墓の形だ。単に長方形ではなく、長方形のそれぞれの短辺の片側だけが長く伸び、小さな長方形が前後にくっついたような形をしている(自動車エアコンの羽(ルーバー)のような形といえばいいだろうか)。これを大きくし、ちょうど半分に切ると、見事、剣池の形と符合するのだ。
では、なぜ半分なのか?それは、全てを発掘できなかったからだと思われる。虎丘は「天下第三泉」に「憨憨泉」と水に関する逸話が多い。つまりは、水の豊かな土壌であり、それゆえ地盤が脆いのだ。そもそも丘の上に立つ雲岩寺塔がピサの斜塔のように傾いたのは、地盤沈下が原因だと聞く。盗掘してたら、塔が傾き、あわてて中止したなんて想像も、中国だったらありえない話ではない(それが孫権である可能性は低いと思うが)。
虎丘は呉王・闔閭のためにその子・夫差が造営した陵墓だと言われる。つまり虎丘は日本で言うところの古墳なのだ。闔閭が没したと言われているのが、紀元前498年。最近、世界遺産に登録された仁徳天皇陵が5世紀にできたと言われているから、遡ること900年以上前ということになる。いやはや、中国の歴史は奥深い。
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虎丘(hǔ qiū:フーチュウ)
交通:蘇州駅よりバス遊2線で虎丘下車、徒歩約7分(570m)。
時間:7:30-17:30
料金:80元
鸿山遗址博物馆(hóng shān yí zhǐ bó wù guǎn :ホンシャンイージーボーウーグァン)
交通:無錫駅よりバス763線で鴻山遺址公園下車、徒歩約4分(300m)。
時間:9:00-16:30 ※月曜休み
料金:50元
<今日の中国語>
主题乐园(zhǔ tí lè yuán)ジューティルーユエン:テーマパーク
可疑(kě yí)クーイー:眉唾
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