2つの仕掛けを知ってれば楽しさ倍増!蘇州庭園を見に行こう!
長らく上海に住んでいたが、誰か知り合いが来るたびに思う。
どこに連れて行ったらいいのやら?
悠久の歴史を誇る中国にあって上海は例外。長らく鄙びた漁村に過ぎず、発展したのは19世紀に南京条約により開港され、外国による租界が形成されてからだ(成り立ちでいえば横浜や神戸と似ている)。そんな具合だから観光地がない。しかも、みんな中華街みたいな所に行きたがるから、結局、豫園に連れて行くことになる。
中華料理店と中国茶屋、そして中華グッズ店が所狭しと並ぶことで有名な豫園だが、正式名称は「豫園商城」。単に豫園といえば庭園を指す。ここに来れば、自然と庭園にも入るのだが、来るたびに「庭園を見るなら、蘇州に行けばいいのに」と思う。なんせ「蘇州古典庭園」は世界遺産。豫園とは格が違うのだ。
蘇州には庭園が多い。世界遺産に登録されているのは9カ所だが、小さいものも含めると実に35カ所にのぼる。こんな小さな街に、なぜこれだけ多くの庭園があるかといえば、簡単にいえば、その昔、庭づくりが流行したからだ。
蘇州は春秋時代の呉という国が拓いた街で、大運河完成後は、交通の要衝として栄えた。産業は主に絹織物で、蘇州の絹織物は世界的に有名。日本でも「呉服」と呼ばれ珍重された。
その蘇州が最も栄えたのが明代で、揚州と蘇州といえば江南きっての大都会だった。そんな中、都会で財を成した士大夫たちが、故郷に戻って来て、自分の家に庭を作っては、互いに自慢し、競い合うようになった。これが蘇州庭園の成り立ちだといわれる(つまりは成金の道楽だったといえる)。
知識人である士大夫が作っただけあり、この蘇州庭園、なかなか理屈っぽい。この文様はこういう意味があって、この建物はこういう思想がある…なんてことを書いていたら、このブログは大変なことになってしまう(そもそも、みんな読まないだろう)。だから、2つだけ分かりやすい仕掛けを紹介することにする。
漏窓(lòu chuāng:ロウチョアン)。
装飾を施した窓のこと。窓は光を取り入れるものだが、外の景観を造成することで、窓がまるで絵画のような効果を果たす。例えば、網師園の殿春簃という建物にある漏窓は外に竹が配され、絵のように見える仕組み。欧米人はオリエンタリズムの真髄だと思ったのか、ニューヨークのメトロポリタン美術館にこの殿春簃をそのまま作ってしまった。したがって、欧米人には有名らしく、他の庭園に比べ、欧米人観光客が多い。
門洞(mén dòng:メンドン)
壁に開けた通り道のこと。漏窓同様、壁を界に全く異なった造成を行うことで、別世界へのトンネルのような役割を果たす。この門洞の極みといえるのが、藝圃の門洞。見所のない庭園だが、庭園右奥の別邸へ続く門洞だけが素晴らしい(写真を参照)。この藝圃、住宅地のど真ん中にあり、行けば必ず迷うと言われるほど、辿り着くのが難しい庭園だが、この門洞は一見の価値がある。
ちなみに拙政園や獅子林など、人気の庭園は事前予約制になり、当日、チケット購入ができなくなったらしいが、ここで紹介した庭園は当日でも入れるようなので、蘇州に行った際はぜひ訪れてほしい。
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<DATA>
网师园(wǎng shī yuán:ワンシーユエン)
交通:蘇州駅より地下鉄4号線で三元坊下車、徒歩約17分(1.3km)。
時間:7:30-17:30 ※10/21-4/20は17:00まで。夜花園19;30-22:00
料金:40元、夜花園は100元(当日19:00までに要予約)
艺圃(yì pǔ:イープー)
交通:蘇州駅より地下鉄2号線で石路下車、徒歩約20分(1.6km)。
時間:7:30-17:00
料金:10元
<今日の中国語>
苏州园林(sū zhōu yuán lín)スージョーユエンリン:蘇州庭園
高铁(gāo tiě)ガオティエ:高速鉄道(中国版新幹線)
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