上海蟹は上海では食うべからず!ブランド蟹を求めて陽澄湖へ行こう
中国・秋の名物として「上海蟹」が有名だ。しかし、中国に行って「上海蟹有吗?」(有吗 yǒu ma:ありますか?の意味)とそれっぽく言っても絶対に通じない。なぜなら「上海蟹」という中国語は存在しないからだ。
「上海蟹」は、中国語で「大闸蟹 dà zhá xiè:ダージャーシエ」という。なぜ、日本で「上海蟹」と呼ばれるようになったかといえば、上海港から輸入されたカニだったからだ。天津甘栗も天津港から運ばれて来たからであり(天津は都会だから栗林など存在しない)、中国から買い入れた汽船に乗って運ばれて来たトコジラミが南京虫と呼ばれたのも全て同じ理由だ。
天津で甘栗が採れないように、上海でもカニは採れない。では、どこでカニが採れるかといえば、上海の西、昆山北西部から蘇州北東部にかけて広がる「阳澄湖(陽澄湖) yáng chéng hú:ヤンチェンフー」という湖だ。陽澄湖産といえばブランドで、都心に持って行けば高値で取引される。ちなみに日本ではというと、以前は輸入されていたようだが、日本では何でもかんでも「上海蟹」として売り出し、陽澄湖のブランドを冠しなかったため輸入を止められた、という話がある。なお、中国国内で売られている阳澄湖大闸蟹の99%は偽物だという恐ろしいデータもある。
では、どこなら本物の阳澄湖大闸蟹が食べられるのか?答えは現地に行けばいい。陽澄湖の周りには、いくつも蟹を食べさせるレストランが集まり、採れたてのカニを食べさせてくれるのだ。
巴城 bā chéng:バーチェン
上海と蘇州の中間地点、昆山からバスまたはタクシーで行く。湖から水を引いた水路にカゴを投げ込み、カニを売っている卸業者がいくつもあり、大抵はレストランも併設しているので、選んだカニをそのまま調理して出してくれる(蒸すだけだけど)。普通は調理料金はタダ。値段は一匹40-60元、オス・メスセットなら80-100元くらいで、最もリーズナブルにカニを食べられるのはココ。ただし、値段交渉やレストランの有無などを確認する関係から、ある程度の語学力が求められる。
蓮花島 lián huā dǎo:リェンファーダオ
陽澄湖に浮かぶ島。蘇州側の対岸から船でアクセスする。農村をテーマにしたテーマパークのような島で、見所は満載。「蓮花湾蟹庄」という湖畔に面したレストラン群があり、陽澄湖で採れたカニを食べさせてくれる。レストランなので、巴城の業者で買うよりも値段は高いが、それでも上海や香港で食べるよりも遥かに安い。なお、島内は徒歩しか交通手段がなく、アクセスを含めると1日潰れてしまうので、時間のある人向け。
阳澄湖大闸蟹を食べるなら、まずはオスとメスの見分け方をマスターしておきたい。実は裏返せば簡単にわかる。オスはお腹にふんどしと呼ばれる尖ったパーツがついており、メスは全体的に丸く、ふんどしがない(中国語のサイトだが、ここの説明がわかりやすい)。かにみそを楽しむならオスで、卵を楽しむならメス。ちなみにオスは「公 gōng:ゴン」、メスは「母 mǔ:ムー」という。
次に食べ方だが、まずハサミと脚を全てもいでしまう。続いてオスはふんどしをひっぺ返して折り、その隙間に親指を入れ、一気に甲羅を剥がし、メスはお腹をそのまま引っぺ返して、やはり一気に甲羅を剥がす。食べれない部位(詳しくは今すぐ、中国語というページがわかりやすい)を取り除き、かにみそを甲羅に移したらそこに黒酢を混ぜて、箸でかきこんでしまう。ハサミや脚は、ワイルドに歯で噛み、割って、肉を取り出して食べるが、正直、淡水のカニなので少々臭みがある。肉は適当に食べて、ひたすらみそを食うのが正しい食べ方だ。
ちなみに大闸蟹の最盛期は重陽節(今年は10月7日)周辺と言われる。本場でカニを食べたいという人は、今から旅の準備を!(ただし10月1日-7日までは国慶節なので避けた方が無難)
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<DATA>
巴城(bā chéng:バーチェン)
交通:高鉄陽澄湖駅よりバス昆山271路で玫瑰園下車、昆山118路に乗り換え蟹市場下車
莲花岛(lián huā dǎo :リェンファーダオ)
交通:蘇州駅よりバス87露で陽澄湖旅遊集散中心下車、蓮花島碼頭まで徒歩約6分(510m)。蓮花島碼頭より船にてアクセス。
時間:9:00-15:30
料金:50元
<今日の中国語>
餐厅(cān tīng)ツァンティン:レストラン
蟹黄(xiè huáng)シエホワン:かにみそ
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