廃船に浮かぶ濼口浮橋から中華文明の源泉・黄河を眺望する!
山東省の都市と聞いて、最初に思い浮かぶのはおそらく青島(qīng dǎo:チンダオ)だろう。日本で中国ビールの定番といえばチンタオだが、それは中国でも同じ。また、青島は国内有数の観光地であるほか、有数の商業都市でもあるから、中国人のほとんどの人が青島のことを知っている。
では、青島が山東省の省都であるかといえば、実はそうではない。済南(jǐ nán:ジーナン)である。もっとも知らなかったと言って恥ずかしがる必要はない。なぜなら中国人ですら勘違いしがちなのだ(日本人の僕が中国人に訂正したこともある)。
そんな済南に旅行で立ち寄ったことがあり、言っても省都だから名所の一つや二つくらいあるだろうと高を括っていた。しかし着いてから調べてみると、こんな感じ。
・趵突泉(天下第一泉として名高い泉をメインにした庭園)
・大明湖(趵突泉から湧き出た湖をメインにした庭園)
・千仏山(仏像石刻群。要登山)
…んー、どれも、そそらない。そもそも天下第一泉って中国全土にいくつあるんだろう(調べてみたら4つもあった)。
ということで地図を眺めていると、市街北部に東西に流れる川を発見。そう、ここ済南には中華文明を育んだ黄河(huáng hé:ホワンホー)が流れているのだ。
さらに、ここ済南にかかる橋には特徴がある。浮橋(fú qiáo:フーチャオ)といって、なんと廃船を利用して橋を架けているのだ。構造は簡単で、廃船を川と平行に数十台浮かべ、アンカーを打ち、その上に鉄板を乗せているだけだ。無論、済南にもちゃんとした橋も架かっているだが、なんと市内だけで13も浮橋があるのだ。
中でも最もアクセスが便利なのが濼口浮橋(luò kǒu fú qiáo:ルォコウフーチャオ)。市の中心部からもほど近く、観光で訪れるにはうってつけだ。
日本の橋でも大型車が通ると縦揺れが起こるが、濼口浮橋では同時に横揺れも起きる。数分間、橋の上で立ちっぱなしでいると、軽い船酔いを起こすほどだ。それでも、ちゃんと歩道はあるし、しかも歩いている人は皆無だから、雄大な黄河を心ゆくまで眺めることができる。ただし、たまに通る電動バイクに轢かれないよう注意が必要だ。
浮橋は日本では珍しいし、橋桁がないぶん水面に近いので黄河の迫力ある光景を堪能できるが、構造を考えてもらればわかる通り、決して安全な代物ではない。濼口浮橋ではないが、別の浮橋に大型トラックが積載オーバーのまま浮橋に侵入し、橋もろとも沈んだことがニュースになったことがあった(考えれば、わかりそうなものだけど)。また自然災害にも弱く、雨が降り、黄河が増水すると揺れが激しくなり、揺れが波を引き越して襲いかかってくる。増水の時期はかなりの頻度で通行止になり、今年は6月から8月初旬まで通行止だったようだ。そんな時期に行くのは無謀だ。
なお、浮橋は観光地ではなく、地元の人の生活道路である。安全性と諸事情を踏まえた上でマナーを守って観光してほしい。
<DATA>
泺口浮桥
交通:済南駅からバスB84路で長途総站南区でK4路に乗り換え、二環北路済濼路下車、徒歩12分(1km)
<今日の中国語>
电瓶车(diàn píng chē)ディエンピンチェー:電動バイク(スクータ型の電動自転車)
调头(diào tóu)デャオトウ:Uターン
超车(chāo chē)チャオチェー:(自動車の)追い越し
超载(chāo zài)チャオツァイ:積載オーバー
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